飯尾醸造見学@京都府宮津市

こんばんは。元木です。
また寒くなりましたね。まだまだ冬です。

今日は、京都大学の農業系サークル「農業交流ネットワーク」の活動で、無農薬栽培の米のみを使ってお酢を作っていらっしゃる「飯尾醸造」を訪問しました。醸造現場を見学しながらお話を聞く中で、彼らのお酢に対する情熱とこだわりを感じることが出来ました。







飯尾醸造が販売している商品。色々な種類のお酢や、お酢を使用した商品が綺麗にディスプレイされている。



飯尾醸造について、詳しくはここを参考に→http://www.iio-jozo.co.jp/index.html


日本海側は雪でした。

お酢がどうやって作られるかご存知ですか?

お酢の主成分は酢酸CH3COOH
で、酢酸はエタノールCH3CH2OHを酸化することによって生成されます。

エタノールとはお酒の成分、つまりアルコールのこと。お酢は米酒を更に発酵させることによって作られるのです。

飯尾醸造さんはお酢屋さんのなかでは非常に珍しく、自社で米から酒を醸造する蔵を持っていらっしゃいます。もっと言えばその米は契約農家に育ててもらったものなので、最初から最後までお酢づくりに携わっているのです。

今回は酢の原料となる酒を作る蔵と、酒から酢を作るための蔵のどちらも見せて頂きました。

















蒸した米を広げて冷ます様子。この後、”こうじ菌”を全体にふりかけて混ぜます。


















これが”こうじ菌”この菌が米のデンプンを分解して、糖に変えます(前回の渡辺の記事も参考に)








しばらく温室においてこうじ菌が全体に回った状態の米。これを”こうじ”と呼びます。

この”こうじ”に米と水と酵母菌(この菌が糖をエタノールに変えます)を加えて発酵を進めると、酢の原料となる米酒ができます。だいぶ簡単に説明しましたが、実際はもっと複雑で繊細な管理が必要になってきます。

こうしてできた酒を別の蔵で発酵させてお酢にします。

















発酵させるタンクの蓋の中を見せてもらいました。この部屋には酢の香りが充満しています。

飯尾醸造のHPに詳しい説明がありますが、この発酵過程をゆっくり行うことで、お酢に豊かな香りと味わいが出るそうです。一般のお酢メーカーのように発酵速度を早くすればもっと効率はいいのですが、味と香りにこだわっていらっしゃるので、それはしないそうです。

飯尾醸造さんの事業には農村を守るためのヒントが散りばめられています。契約農家さんが棚田で無農薬栽培した米を使って、品質の高いまっとうなお酢を作り、全国に売り出している。そのことによって、本来失われていくはずの棚田が維持され、そこで生活する農家の生活も保証されます。

日本の農村では効率よりも、豊かな自然を生かした品質重視の農業が行われるべきだと私は思います。それをどのように外部に発信していくか、消費者の理解を得ていくかが重要でしょう。

飯尾醸造さんはその成功例であり、多くのことを学ばせて頂けそうですね。
これからもよろしくお願いします。